2014年12月27日ほろ酔いコンサート2014~KOKI-1から50周年に向かって~


 
◆いよいよです!

ほろ酔いコンサート2014年、初日に僅かな当日券が出ただけであとの2日間は完売。50周年イヤーに向けて気合の入るトキコさんの元に、今年もよみうりホール満杯のお客様がやってくる。リハーサル中のトキコさんのシルエットが美しくてシャッターを切った。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014

◆まず一杯呑んでから始めよう~第一部 

明るく疾走感のあるカントリー調のイントロが流れ、客席の期待が高まり気温上昇?真っ赤なドレスに身を包んだトキコさんが笑顔で颯爽とステージ中央まで歩いてくると、会場の興奮は一気に高まる。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 

♪色即是空 

~余計なものはみんな捨てて 今日はどこかへ身軽な旅~
(「色即是空」1972年 作詞作曲:加藤登紀子)
この曲かっこいいなぁ。そんな風に生きたいなぁ、と思いながらカメラを構えなおす。

「元気?ついにこの日になりました!色んな意味で大事な一日になりましたが用意はいいかな?!」
対するお客さんは既にほろ酔って元気一杯、トキコさんのペースに笑顔で身を任せている。
「まず一杯呑んでから始めようか!ね、私の29歳の誕生日に乾杯!!」
まるでプールの折り返しのように、50を過ぎると一年ずつマイナスしていくという、トキコさんオリジナルの計算式によると、今年トキコさんは20代に突入する。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014

♪酒が飲みたい 
 
「皆さんはちょっと飲み足りない感じでしょうが、私の歌をお酒と思って酔ってください!あ、こんなのあるよ!」
といいながら、おもむろに歌いだすアカペラの「酒は大関」。もちろんセットリスト(曲目)にはない。セットリストは、トキコさんのコンサートの場合、事前にしっかりと組まれているけど当日の流れとトキコさんの心次第で変幻自在、バンドメンバーもあうんの呼吸でついてきてくれる。去年はトキコさんが朝目覚めたときに思い付いた曲を、当日の本番でやったこともあった(KOKI.TOKI.という歌:※ドキュメント・トキコ 2014.1.23.参照)。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014

♪酒は大関(アカペラ)

◆駐在さんに、日本酒2本!!
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014

「1971年にほろ酔いコンサートが始まりました。あなた、まだ生まれてなかったでしょ?」
と言いながら当時の話を少し。当時は日劇ミュージックホールで行っていたほろ酔いコンサート。
「ホールのすぐ前、有楽町の駅前に駐在さんがいるわけ!そこに、始まる前に、一升瓶を二本持って行って「ちょっと、よろしくお願いします!」もうこれで、すべてよし!!」
定員の倍くらいのお客さんが入っていても大丈夫だったという話に会場は爆笑の渦。今のほろ酔いコンサートしか知らない私には、ちょっと眩しい憧れの時代である。

続いては60年代、70年代、80年代、そして90年代と時代順に数曲ずつ選んで歌っていくという珍しい企画。
「50周年ということでチョット張り切りました!まずはシャンソンコンクールで歌った1曲。50周年記念DVDに入っていますが、それ以外ではどこにも記録が残っていない歌です。ジョナタン・エ・マリ。」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 

♪ジョナタン・エ・マリ
♪赤い風船(手拍子)
♪帰りたい帰れない
♪美しき五月のパリ
♪ひとり寝の子守唄

 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
◆抱きしめてくれた森繁さん 
 
当時、世間はグループサウンズ全盛期で明るく賑やかな歌が大流行。トキコさんが歌うと、トキコさん曰くまるで「火消し女みたい」に客席が静まり返ってしまうので、これでいいのかなと悩んでいた25歳のトキコさん。ある日ステージで共演した森繁さんが歌い終わったトキコさんを袖で待っていて「今日は僕の心と同じ心で歌う人を見つけたよ!」といって嬉しそうにハグしてくれたそう。「ツンドラの冷たさを知っている声だね」と表現してくれたけど、後日「君は歌はうまくないが、心で歌っている」と褒められた(笑)そうだ。
「それがつまり、森繁さんの言う、彼と私の共通点だったのね(笑)!でもそれは最大のほめ言葉であったと今は思います・・・一緒にどうですか。知床旅情!」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪知床旅情
♪愛のくらし
 
◆自由であるために
 

ここまでがトキコさんの独身時代の歌。その後結婚し一年くらい歌わない日々が続いた。
結婚するので歌手を辞めたいと申し出たトキコさんに、当時の事務所社長であった石井好子さんが言った言葉がカッコいい。
「そんなことは決めないほうがいいわよ。世の中の人に、歌手活動やめますなんていう必要もない。あなたの人生は世の中に何の責任もないのよ。あなたは自分だけの心に問いなさい。じゃないと自由じゃなくなるわよ!」
カッコいい社長の下で育った若きトキコさん。そして今、カッコいいトキコさん。心根の素晴らしさって受け継がれていくんだろうか。
「(涙声で)ね、石井さん、すばらしかったね・・・!」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014
 
その後、歌手活動を再開し、世界各国を巡って歌に出会い、新しい色んな歌を歌い始めたトキコさん。今日はトキコさん自らインターネットで探して見つけたというフォルクローレの貴公子、若きケーナ奏者のレンさんを呼び入れて、「灰色の瞳」へ。 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014
 
♪灰色の瞳
♪この空を飛べたら

拍手が終わらぬ内につまびくギターが響き「この街には・・・」と歌いだすと客席で静かにうなづきあう人たちのシルエットがいくつか見える。高倉健さんと夫婦役で共演した「居酒屋兆治」で健さんが歌ったテーマソングだった。

♪時代おくれの酒場

健さんファンだったトキコさん。ロケ現場で健さんの「最後のセリフを言ってもらうために来てもらったんですから、他は気楽に遊んでいて下さい」の言葉に励まされ、一生懸命だったであろうトキコさん。そんな可愛らしいトキコさんが見たい方は「居酒屋兆治」、ぜひ見てください!
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪帆を上げて
♪難破船
♪わが人生に悔いはなし
♪愛さずにはいられない
♪Revolution

 

宮崎駿監督から、ジブリ映画「紅の豚」への出演依頼が来たときは嬉しかったそう。
ジーナ(マドンナ的キャスト。トキコさんの役)がホテル・アドレアーノで歌っているシーンを描くためのイメージ作りとして、監督の前で1対1で「さくらんぼの実るころ」を歌ったそうだ。
「その時は小さなレコーダーで録音、あとでちゃんとレコーディングしなおすとばかり思っていたらそれが良い、ということで一発録りだったのよ!それが映画でも使われてます。」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪さくらんぼの実る頃
♪時には昔の話を
♪花
 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
「一部の最後は父が他界した2年後に作った曲、「されどわが心」。人がこの世を去っていく、時が過ぎていく。色々なことがありながら、でもその中を超えていくということが素晴らしいんだという思いを込めて歌います。」

♪されどわが心
 
~去りゆくものは日々にうとし
花の生命は短い
燃える炎はいつか消え
過ぎゆくものは帰らない
されどいとしき 想いは熱く胸の奥にあふれてやまず
(中略)
届かぬものよ されどわが心
尽きせぬものよ されどわが人生~
(「されどわが心」1998年 作詞作曲:加藤登紀子)
 

◆二部は美しい青に包まれて

マイナー調の静かなイントロが始まり、トキコさんがそっと登場すると星屑が瞬くような会場全体からの拍手。華やかな一部に対し二部はぐっとシックでスタイリッシュ、密やかで静かな大人の世界へと連れて行ってくれるので、ちょっとドキドキしながらファインダーを覗く。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪今日は帰れない
♪リリーマルレーン

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
戦争と破壊の20世紀を経て、希望を持ちたい時代だけれどもまだまだ傷跡の残る21世紀。その中で作っていった歌たちを歌ってくれる今日のトキコさんは、傷ついた中に新しい希望を見出そうとする、やさしさと強さを感じさせる表情をしている。
2002年の旦那さんの他界。そして2011年の東日本大震災。それぞれにトキコさんの思いを込めた歌が2曲つづく。 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪青い月のバラード
♪青いこいのぼりと白いカーネーション

 
そしてトキコさんのシャンソン!!
「シャンソンを歌った大御所たちははるか遠くに行ってしまいましたが、歌は歌い継がれて、その生きた時代がありありと残っていくことは素晴らしいと思います。」 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪愛しかない時
♪愛の讃歌

 

そして今年の新曲。
「ひとは毎日、愛を耕し、愛を育てようとして生きているんだと思います。そして若い人たちに伝えたいのは、色んな不安があっても、それは大昔からずっと未来まで変わらない永遠の節理だということ。そう思って作った曲です!」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪愛を耕すものたちよ 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪百万本のバラ 
 
印象的なイントロが始まると会場から大きな手拍子。会場全体が(百万本のバラだ!)と嬉しそうにドキドキしている感じが伝わってくる。サビの部分は途中から会場も一緒にコーラスに!マイクを向けるトキコさんにむかって、会場全体が全身で歌う。
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
ホール全体で合唱しているみんなを残し、いたずらっぽく笑顔でマイクを置いて立ち去るトキコさん。バンドメンバーがラストまで演奏し、退場すると、間をおかずに会場からは弾むような勢いのあるアンコールの拍手が鳴り響く。イキイキとした期待に膨らむ空気がどんどんと盛り上がってくる。ここからがまた素晴らしいトキコさんのアンコールアワーだ。
 

◆アンコールでHappy Birthday !!
 

One, two, one two three!の告井さんの掛け声で2014年元旦にリリースした「富士山だ」!
写真を撮っている仕事中なのに、オシリを左右に振らずにはいられないノリノリの楽しすぎる名曲!毎回、こっそり小さく振りながら、いつも以上の集中力でトキコさんにレンズを向けます!
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪富士山だ

「富士山に命をかけている人がいるなかで、この詞はちょっと軽すぎるかなぁ?って思ったんだけど、この詞は私じゃなくて阿久悠さんなのよ!!」
なんて言って客席に向かって盃を上げようとしていると、50周年記念Tシャツに身を包んだレンさんが誕生日ケーキを押しながら入場!! 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪Happy birthday to you,happy birthday to you,happy birthday dear Tokiko —
happy birthday to you
 

会場の大合唱に、バンドメンバーからは壮大な男性コーラスで歌い上げるHappy Birthday.
「・・・ありがとう!!でも、これ(日本酒)あけてからにしてもいい?!」
会場が笑いの渦に包まれる中、いつものように、笑顔で鮮やかに一気に飲みし、盃を持ったままロウソクを消すトキコさん。
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
一瞬にして会場全体がお誕生日パーティ会場になって、あちこちから歓声やエール、口笛などが響いた。
「今日でKOKI-1になりました。来年はKOKI-2になるのよ!古希っていう言い方がちょっとね!!だって、古い希望、でしょう?熟成された希望ってことにする?熟成、熟成って毎朝マッサンが言っていますが・・・そうね、私たちは熟成した希望です!!(笑)」
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪Tatarali
♪あなたの行く朝
(途中まで)
 
~いつの間にか夜があける遠くの空に 窓を開けて朝の息吹を~
(「あなたの行く朝」1976年 作詞作曲:加藤登紀子)
芳醇な歌声がゆったりとしたメロディに乗って、みんなが心地よく歌声に酔い始めたころ、トキコさんが急にピタっと立ち止る。
「ちょっと待って。・・・これはねぇ~、倒れる寸前に歌うのがいいよ!余裕があるうちに歌うとあんまり楽しくないのよ!立ち上がって、一回ガツンと行ってからにしようよ!!」
との一声で「あなたの行く朝」の演奏はフェイドアウト、会場は思いがけない成り行きにまたもや笑いの渦となりスタンディングする人が続出、トキコさんのone, two, one two three!が響き渡る・・・!!
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪Power to the People 
 
トキコさんの炸裂するボーカルと、バンドメンバーの高いコーラスがはじける。夏のロックフェスでトキコさんが一気に若者の心を掴んでしまう一曲の登場だ。メッセージといい、トキコさんのためにあるような歌だといつも思う。元気をありがとう、トキコさん。 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
♪アッチャメー
♪歌いつづけて
♪あなたの行く朝

激しいナンバーが続いてからの、とっておきの「あなたの行く朝」。一層心にしみわたった気がするのは私だけではないと思う。

「来年は、50周年本番なので、色んな意味で大事な一年にしたいなと思います!百万本のバラの生まれた国で、私が最初に海外公演した国でもあるラトビアからオーケストラを呼びます。ぜひお越しください!また会えることを願って、最後の歌、・・・花筐!」 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014
 
♪花筐~Hanagatami~ 

加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
花束を持ってステージにかけよるファンの方へ、トキコさんがふわりと降りてきた。まるで羽を広げた森の妖精かピーターパンのようで、若葉色にはえる笑顔が眩しい。
「今日は一緒に写真を撮っていい?」
というトキコさんの一言で会場と一緒に記念撮影を。会場の記念写真は何年振りだろうか。トキコさんたちの後ろにいる会場のお客さん一人一人がとても嬉しそうに見える。 
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
「本当にありがとうございました!!」 
 
歌いながら、豪快に何度も手酌で大関を飲み干すトキコさん。その周りを囲んでいる暖かい会場満杯の皆さん。コンサート会場はアーティストと客席の暖かい心のキャッチボールだと感じるけど、ほろ酔いコンサートではひときわ暖かい時間が流れていく。それぞれの来し方を重ねながら、ホロリとしたり、色っぽさにドキドキしたり、痛快なトークに大笑いしたり、深く大きく肯定されて母に抱かれたような気持ちになったり。年の瀬、みんなで地に足をつけて、新年に向かい笑顔で前を向くような素敵な儀式のようにも思える。
歌う人が、呑んでこんなに素敵に歌えているんだから、私も一度でいいので、大関一杯ひっかけて撮ってみようかな?まだ、怖くてやったことがないので・・・。
 
加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014 
 
KOKI-1、おめでとうございます。

写真と文:ヒダキトモコ

 



ヒダキトモコ
写真家。日本舞台写真家協会会員。
各種雑誌、CD/DVDジャケット等エンタテインメント全般、企業広告等を撮影。
趣味はバックパッカーの旅。
http://hidaki.weebly.com / twitter ID: hidachan_foto

 

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