2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第一日



【7月22日 ステージ1:カフェ・ド・パリ】

◆フジロックにエディット・ピアフが来た

加藤登紀子フジロック2016

苗場プリンス前の集合場所に停めてあるミニバンのドアをスライドさせ、挨拶をして中に乗り込むとトキコさんが笑っていた。「よろしく!」黒のふんわりした衣装に身を包んだトキコさんがとても可愛らしい!今年はフジロックの3日間フル出演、5ステージをこなす予定のトキコさんだ。

加藤登紀子フジロック2016

緑のトンネルをくねくねと抜けて、カラフルな旗のはためくカフェ・ド・パリに到着。ムーラン・ルージュを模したというテント風の会場は、外の強い日差しと鳴り響く太鼓などの喧騒から布一枚、そこだけ落ち着いた独特のステージ感が美しく、トキコさんもお気に入りの場所だ。

楽屋へつくとみんなそれぞれに、身支度を始める。ふと見るとトキコさんが、メイク道具を片手に、バイオリンの向島ゆり子さんのヘアメイクをしているではないか!
「トキコさんにメイクして頂けるなんて!」と嬉しそうな向島さんにトキコさんは
「私、人にメイクするのが、なかなかうまいのよ!」とニコニコ。
ほんとだ。髪形もメイクも、とっても可愛らしく仕上がりました!!

加藤登紀子フジロック2106向島ゆり子

◆開演!!

「Next, on stage, … Tokiko Kato!!!」
会場一杯のオーディエンスの拍手に包まれ、トキコさんが登場する。
オープニングの一曲はドイツ語で歌うマレーネ・ディートリッヒの一曲「また恋しちゃったの」
大きな拍手に包まれて歌い終わったトキコさん。
「マレーネ・ディートリッヒです」
と洒落た台詞を言うと客席は嬉しそうな歓声。
「・・・誰だかわかる?わかんないか?せっかく格好つけて出てきたのに、ぜーんぜんわかってないのね!?(会場爆笑)今日はトキコ・シャント・ピアフ、登紀子がピアフを歌う日です。エディット・ピアフはわかる?エビとピラフじゃないよ!」
そんなことを言いながら、知らない間にぐいぐいとフジロッカー達の心を掴んでいくトキコさん。ロック・フェスでピアフとマレーネをどう届かせるのか?トキコさんが、若者たちの反応を楽しみつつ次々と鮮やかな「一本」を取って行く試合を見ている様で、撮影は楽しかった。

Café de Parisが一気にパリの裏路地へ。 現存するピアフのモノクロ写真とトキコさんのイメージが重なり、どうしてもモノクロで撮りたくなって撮った一枚。

Café de Parisが一気にパリの裏路地へ。
現存するピアフのモノクロ写真とトキコさんのイメージが重なり、
どうしてもモノクロで撮りたくなって撮った一枚。

 

「マレーネとピアフは大親友だったの。でもマレーネは15歳くらい大先輩よ。マレーネの少し上はだれかというと、紅の豚に出てくるジーナです。ジーナのモデルはマレーネじゃないかと私は思ってるんですけど、10歳くらい上。今日はピアフの生きた時代前編。明日は後編。明日も来ないとね!明日来る人だけね、今日聴いていいのは(笑)」

そこから一気にピアフの世界へオーディエンスをつれていく。路上で生まれ、娼婦小屋で育ったピアフが路上で歌うようになるまでの話をして、気づくと10代のピアフがそこにいた。

「行ってみる??ピアフ14歳、パリの街角!」

♪サ・イラ♪

歓声と拍手が鳴りやまぬ中、私の街のイントロのピアノが響くとぐっと雰囲気が変わる。

加藤登紀子@フジロック2016
加藤登紀子@フジロック2016

♪私の街♪

「みんなわかった?前の方の女の子たち、頭良さそうね!」
みると最前列の女の子たちが、ニコニコしている。
「結局、街角にたってやくざの仲間になったわけ。でも歌で立ちたいと思ったから身を売りたくなくて、でも投げ銭をヒモにとられるような生活をしていたのね。そうしたら路上でスカウト、一夜にしてスターになったの。あの子はすごいダイヤモンドだって、キャバレーに連れて行かれて。19歳のとき。
次の歌は路上からキャバレーにいったピアフが初めてレコーディングした歌、娼婦の歌よ。
行ってみよう、L’Etranger(異国の人)!」

加藤登紀子@フジロック2016

♪異国の人♪

「皮肉なものね。エディット・ピアフがやっとスカウトされてスターになった19歳の時、それは自分の2歳の娘を亡くした直後だったの。相手の男性プチ・ルイもピアフもお金がなくてお葬式を出せなかった。これを読んで私はピアフの為に2曲、歌を作りました。
亡くした夜の出来事「名前も知らないあの人へ」。それから自分がペール・ラ・シェーズに葬られたとき、娘の名前も一緒に刻んでもらった「ペール・ラ・シェーズ」。

加藤登紀子@フジロック2016

♪名前も知らないあの人へ♪
♪ペール・ラ・シェーズ♪

「ペール・ラ・シェーズってお墓なの。日本でいうと、青山墓地って感じかな?」
1871年パリ・コミューン革命。自由な政府を作ったが70日後に鎮圧され、何十万人もの人が亡くなった。その最後に立てこもったのがペール・ラ・シェーズで、彼らが亡くなった壁のすぐ近くに、ピアフのお墓があるという。
「そのパリ・コミューンの人たちが、自分たちの思い出を想って歌ったのが「さくらんぼの実る頃」だったの。ちょっとだけ歌うね・・・」

イントロが始まると、驚きと喜びの混じった歓声があがった。
ワンコーラス目のフランス語の響き。その暖かさに酔いながら揺れる客席。

加藤登紀子@フジロック2016

♪さくらんぼの実る頃♪

この近さでトキコさんの歌を聴ける幸せ。前列の男性はトキコさんとしばらく目が合ったようで、まるで恋に落ちたようにうっとりと聴いているように見えた。

~君は赤く頬を染めて いつもよりずっと きれいだよ~
~傷ついたまま消えない思い出 胸の奥でふるえてる
どんなに時が過ぎても あの日の恋を 忘れない~(訳詞:加藤登紀子)

はたけやま裕さんの鳴らすベルツリーが星屑の様に響き、客席が歓声に包まれる中、そのまま「愛の讃歌」のイントロが始まる。

加藤登紀子@フジロック2016

♪愛の讃歌♪

圧倒されるような歌声と楽曲のもつ熱いエネルギーを受けて、客席は雷に打たれて熱を帯びたようにジっと聴き入っている。
フジロックのラインアップの中でも、こうしたオープンエアではない、ラフすぎない、特別な雰囲気で聴けるトキコさんの「愛の讃歌」は、また格別の味わいに違いない。
歌が終わった瞬間、ワーーーーーっと大歓声があがる。

加藤登紀子@フジロック2016

「この続きは明日ね!ありがとう!ピッカピカのいい男ばかり、沢山いるわね!女の子もありがとう。みんなが知らない歌も一杯あったかもしれないけど、こういう歌もあったってことを伝えたかったの!」

楽屋テントにて、共演者、スタッフと共に。

楽屋テントにて、共演者、スタッフと共に。

 

◆「やべぇ加藤登紀子」

やはりカフェ・ド・パリという会場は美しく、トキコさんの世界観にとても似合うなあと感じた一日。フジロックに突然ピアフが出現、それがとても、しっくりくる感動の初日だった。聴いている若いみんなも、自然にその世界に飲み込まれて恍惚となっていた様だった。
改めて、トキコさん、すごいなぁ。

終演後に会場を後にする若い男の子たちが去り際、「やべぇ加藤登紀子。マジで、見れてよかった、スゲー良かった」と口々につぶやきながら笑顔で去っていく姿が印象的だった。

若い人こそ、トキコさんのLIVEに来た方がいいと思う。
大人のいい女の、その世界に触れると、心に新しい何かが芽吹いて、自分の中の(大人)が目覚める気がする。同世代の等身大の歌だけをもし、聴いていたら開かない部分が開き、内側からキラキラと輝きだす感じ。そしていい男、いい女になっていく・・・かも。

明日からの2日間、残りの4ステージが既に待ち遠しい。

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第二日

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第三日


写真と文:ヒダキトモコ

 



ヒダキトモコ
写真家。日本舞台写真家協会会員。
各種雑誌、CD/DVDジャケット等エンタテインメント全般、企業広告等を撮影。
趣味はバックパッカーの旅。
http://hidaki.weebly.com / twitter ID: hidachan_foto

 

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