2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第三日


【7月24日 ステージ4:ジプシー・アヴァロン】

◆アトミック・カフェはこの日も青空

ホワイトステージ脇のアーティストエリアに車を停めて、ここからアトミック・カフェが行われる会場ジプシー・アヴァロンへはアーティストもスタッフも全員、歩いて山を登る。
特別なルートではなく、一般のフジロッカーに紛れて一緒に歩くのだが、意外とみんな気づかない。トキコさんも、大友さんも、テクテク歩く頭上には、ジリジリと照り付ける夏の太陽。

加藤登紀子@フジロック2016

今年はSEALDsのメンバーがフジロックに出演することになり、ネットを始め、かなり議論が盛り上がった年でもあった。

津田さん:「今年はフェスに政治を持ち込むなと大炎上しましたね」

トキコさん:「音楽に政治を持ち込むなっていうのは、例えて言うなら焼きそばと皿(政治)みたいな関係。政治が皿ね。皿なしで焼きそばたべるのかと。うまい焼きそばを楽しく食べたい、そのために突き進むことが大事なんです」

大友さんは、ギターでノイズを出すことで、心のモヤモヤをスッキリさせることができるという。また震災直後、原発関連で動いてみたらとてもバッシングされたことについても、想いを語った。

大友さん:「震災直後だけだよね。はっきりとしたメッセージ出したの。音楽とまつりごとの境は実はない。そもそも、どちらかだけを認めてどちらかを認めないっていうのが僕はとても嫌で。福島の原発の時に、動いている人がいたっていいのに、凄くバッシングされたの。いいじゃない、動いている人がいても」

トキコさん:「ダライラマは言ってます。世界が穏やかに平和に、過ごしていることも忘れてはいけない。ニュースになるのは一部のニュース。絶望に力を持たせないようにしましょう。そのためには、希望に力を持たせる。生きていくことは素晴らしいねっていう、その意識を育てて絶望勢力に立ち向かっていく。美味しい焼きそばを、美しい皿にのせてたべましょうっていうことですよ。素晴らしい毎日の暮らしを自分の手でちゃんと守るぞっていう。だから今の時代も革命だと思ってるんですよ」

大友さん:「若いころ僕は、80年代に世間がただ楽しそうにしているだけで気に食わなかった。そこで、ギターでノイズ出すとすっきりしましたね!」

加藤登紀子@フジロック2016

トキコさん:「フジロックみたいな在り方って良いよね。いい音楽があるとみんな抱き合っちゃう、みたいな!これをそこらじゅうでやればいいと思う。生活の場に持ち込みましょう!
ブータンのことを思い出しました。ブータンの人は自分のことは祈らない。
世の中が良くなりますように、そういう祈りなんです。
自然から吹いてくる風。旗がはためくのも、一つの祈り。
そういう思いで、みんなでフジロックの空気の中で、音楽を楽しもう!!」

みんなで良い方向を向いて行く。それに音楽も切り離せない。
そういうメッセージを、芝生に腰を下ろし、風に揺れる旗やステージ前の向日葵を見ながら、仲間と考えてみるのも、とてもフジロックらしい。
続いては同じステージで、加藤登紀子 meets 大友良英 with Love Farmers、LIVEです!

◆向日葵と共に。青空のLIVE開演!!

大友さんのギターがギュイーン!と響き始めると、どこからか「きたー、きたぜー!」という歓声が上がった。

加藤登紀子@フジロック2016

♪田舎へ行こう♪
♪大きな樹の物語♪

トキコさん「昨日のGREENでも、この“田舎へ行こう”を歌いました。
今度、ラブ・ファーマーズでレコーディングもしようと思っています!」

続いては89年に作ったオリジナル曲。
「染谷さんが高校生の時から歌っていたという、歌を一緒に歌いたいと思います。
Revolution!」

加藤登紀子@フジロック2016

♪Revolution♪
♪No No No♪

FUNKIST Simaさんのボイス・パーカッションから渋く始まったイントロ。
真夏の青空の下で聴くNo No Noは開放感があって、オーディエンスも風に吹かれて気持ちよさそう。

トキコさん「ボイス・パーカッションて、すごいね!それって何時間も続けられるの?」
Simaさん「それは苦しいですね!でも今日は皆さんと一緒に出来て嬉しいです、ありがとうございます!」

加藤登紀子@フジロック2016

♪Power to the People

加藤登紀子@フジロック2016加藤登紀子@フジロック2016

~二つの足でしっかり立って
明日に踏み出していこう
叫びたいこと ちゃんと叫ぼう
Say it, Power to the People~(訳詞:加藤登紀子)

♪Begin again♪

最後は立ち上がったオーディエンスに向かって、自らのギターを掲げる大友さん。
NHK朝の連ドラ「あまちゃん」関連の番組で見た顔とはまた違う、やんちゃな少年のような嬉しそうな笑顔が弾けた。歪ませたノイズの中からは、大友さんのまっすぐな想いが、いまにも溢れ、爆発しそうになっているようが気がする。ノイズといいつつ、思い切り演奏するその音からは、とても気持ちがいい空気が漂ってくる。

最後の音が鳴り響き、前列総立ちの夏空の下、笑顔が弾けるトキコさん。
ここから、今年のフジロック最後のステージ、カフェ・ド・パリへといよいよ移動だ。


【7月24日 ステージ5:カフェ・ド・パリ】

◆カフェ・ド・パリ3日目、ファイナルステージ!

加藤登紀子@フジロック2016

♪田舎へ行こう♪

オープニングは忌野清志郎さんによるフジロックテーマソング、“田舎へ行こう”。
「3日目です!!元気かい?(会場YEAH!)」

今日のメンバーは大友良英さん、そして10年間トキコさんが「土と平和の祭典」を一緒にやってきた、FUNKIST、サックスと笛のクリスさん、キーボードのヤンシーさんと一緒のステージ。

「いいねー3日間のフジロックは!かなりホームレス状態で。トイレに行くのも、ご飯食べるのも、水飲むのも大変で、それに耐えて、ピッカピカだよみんな。かっこいいねー!」

ピカピカだと言われ、会場は爆笑しながら盛り上がっている。

「今日は新しいオリジナルも聴いてほしいです。
ところで、樹に耳を当てたことある?昨日から探してるけど、なかなか大きな樹に行きあたらないんだけど。あったら耳をあててください。その中に不思議な音がするんです。では、“大きな樹の物語”。」

加藤登紀子@フジロック2016

♪大きな樹の物語♪

~百年後も生きてるだろう 大きな樹の物語~(作詞作曲:加藤登紀子)

加藤登紀子@フジロック2016

♪Revolution♪

「モヒートください、葉っぱと氷のないやつ!」

フジロックも、ほろ酔いコンサートになってきた。

「大友さん、ノイズで、もっと入ってきてね!西郷君はラップがいいよね!
人間は、刺激や、ややこしいものが周りに沢山あったほうが、元気になるんだよ。
NoNoNoは、わたしにとってはノイズです。なんか私、“知床旅情”の静かなイメージがあって、知床姉ちゃんとか言われていたけど、本当はこういうロックな作風も一杯作ってるんだよ!ヒットしなかったけど!!(笑)」
悔しいからいつか、ヒットしていない曲だけでコンサートやっちゃいたいというトキコさん! そういう歌にこそ、そのアーティストのコアなカラーが滲む気がする。是非聴きたいと思うのは私だけではないだろう。

「この歌を作った時は1981年だから、当時は急速な自然破壊とか、原発に対するNOという意味を込めた歌だったんだけど、今日はなんでもいいから、No No No。みんな一緒にね!
じゃあ、ノイズ!・・・じゃなかった、No No No!」

加藤登紀子@フジロッKフ2016

♪No No No♪

Simaさんのボイス・パーカッションとヤンシーさんの渋いキーボードで始まり、赤いライトに包まれて歌うトキコさんは、今迄見たことのないロックなダークさを感じさせて、撮影しながらドキドキした。

~わかったふりして進め どうにかなるさ 誰も行き先を知らない
No No No
何にも知らないままで
No No No~ (作詞作曲:加藤登紀子)

クリスのサックスが絡み、西郷さんのボーカルが乗る。
~地獄に向かって進め 豪華な化粧で~

暗いメロディとサックス、ビート、ピアノサウンドの中で繰り返されるNo No No.
オーディエンスの振り上げる拳に全員で歌い揺れていると、不思議な異空間にいるような気持ちのいい揺らぎを感じた。
大友さんの歪んだノイズがそこに、冷たい水が流れ込むように絡んでいく。

加藤登紀子@フジロック2016

♪Power to the People♪

一転、明るく力強いエネルギーに満ちたPower to the People, そして最後は新曲“大きな樹の物語”のカップリングで、“Begin Again”。

加藤登紀子@フジロック2016

♪Begin Again♪

~今、はじまる!!~(作詞作曲:加藤登紀子)

最前列、超広角レンズを構えて、興奮が最高潮に達したオーディエンスに揉まれながらトキコさんたちのトゥッティを狙った。

「ありがとう!!」

終わりは始まり。
今、始まる!というメッセージで終わった今年のトキコさんのフジロック。
3日で5ステージ。一つ一つのステージが全部違う、でも緩やかにつながっている、その中で全力で歌い切ったトキコさんの笑顔は爽やかだった。

加藤登紀子@フジロック2016

そういえば、今年フジロックのパスは手首にまくリボン式だったのだけど、初日にトキコさんは結び目を引っ張りすぎて、抜けなくなってしまった。
「どうしよう、困った!」
結局、手首のリボンをはさみで切って、化粧ポーチのところにくくりつけることで解決した。
そんな可愛い姿と、ステージでのカッコイイ姿がどちらも似合う、フジロックのディーバ(歌姫)。

加藤登紀子@フジロック2016

20周年を迎えるフジロックと、51年目のトキコさん。
どこまで行くのか、どこまでも行く!
そんな気がするワクワク感を、ずっと抱いて行きたいと思います。
トキコさん、素敵な夏を、ありがとうございました。

トキコさん meets 大友良英 with Love Farmers

トキコさん meets 大友良英 with Love Farmers

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第一日

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第二日


写真と文:ヒダキトモコ

 



ヒダキトモコ
写真家。日本舞台写真家協会会員。
各種雑誌、CD/DVDジャケット等エンタテインメント全般、企業広告等を撮影。
趣味はバックパッカーの旅。
http://hidaki.weebly.com / twitter ID: hidachan_foto

 

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