2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第二日


【7月23日 ステージ2:カフェ・ド・パリ】

カフェ・ド・パリ2日目!
既に昨日以上に満杯のお客で足の踏み場がなく、開演前から、ほとんど動けない状態。

司会者の「Let’s welcome Tokiko Kato on the stage!」という声が響き、拍手と口笛に迎えられ、なめらかに滑るように登場したトキコさんは斜めの黒いハット。

加藤登紀子@フジロック2016

♪さくらんぼの実る頃♪
♪愛の讃歌♪

2日目のステージ、のっけから客席は大歓声に包まれた。
「昨日はさくらんぼの実る頃と愛の讃歌で終わったの!今日はそこから先のピアフを歌います!」

そしてピアフの話を少し。とても恋多き女だったこと。有名な戦後のシャンソン歌手はほとんどピアフの恋人と言っていいくらい。彼女の恋愛には2つ法則があって、1つは、2年にいっぺんは恋人を変えること。もうひとつは、自分からさよならを言うこと。

「でもね、“愛の讃歌”をささげたマルセル・セルダン(ボクサー、初めてフランスから世界チャンピオンになった人)は飛行機事故で死んでしまい、彼女からさよならは言えなかったのね」

今日は、戦争中のピアフの歌を歌うというトキコさん。
戦争中にドイツからフランスに大勢の優れた音楽家が逃げて来て、その中の一人と恋に落ちたピアフ。偽のパスポートや偽名を使ってステージにあげていたユダヤ人の彼が、戦争中に作った歌、「パダンパダン」。

加藤登紀子@フジロック2016

♪パダンパダン♪

「数えきれない男と過去の思い出・・・」(訳詞:加藤登紀子)

続いて、明るいリズムが会場を満たし、手拍子の波が広がっていく中、トキコさんが叫ぶ。

「毎日どこかで死んでいくひとのために!
泣いているひとのために!
広島のために パールハーバーのために!
いつになったら愛の為に太鼓を叩く日がくるのかしら!」

晩年に一緒にいた若き恋人が作った歌、“響け太鼓”。

加藤登紀子@フジロック2016

♪響け太鼓♪

「続いて、死ぬ間際にできた歌を歌います。
1曲目は、生きることは本当に大変、でも素晴らしく生きようとすれば、そう生きることができる、そういうものよ、という歌です。“あなた次第”」。

加藤登紀子@フジロック2016

♪あなた次第♪

そして晩年のピアフの心の中を思わせるような、生きる願いを込めた、“私の神様”。

♪私の神様♪

~もう少しここに居させて 一日でも 二日でも 八日でも
愛する人のそばにいさせて~(訳詞:加藤登紀子)

暖かい拍手が会場全体に広がった。

「ピアフは1943年10月11日午後1時10分に亡くなりました。
当時、私は19歳で、ピアフの葬儀の沿道を何十万人という人が埋めたというのを知って衝撃を受けた、それが私とピアフの出会いでした。

命日となった日、ピアフはアメリカで公演する予定で、ケネディ大統領と会うのを楽しみにしていました。そのケネディも、約1か月後の11月20日に暗殺されました。
ピート・シガーが歌った、花はどこへ行ったを聴いてください」

客席は水を打ったように静かなまま聴き入っている。

加藤登紀子@フジロック2016

♪花はどこへ行った♪

「明日はこの場所で全く違う・・・なんだっけなー(会場爆笑)。
そう、加藤登紀子meets 大友良英with Love Farmers!遊びに来て下さい!」
最後にアンコールの一曲、ピアフの“私は後悔しない”。
明るいビートのイントロに、急にロックらしい空気に包まれる会場。

加藤登紀子@フジロック2016

♪私は後悔しない♪

もうステージ前は人が一杯で足を踏み入れることもできず、ステージ脇の布の下にもぐりこんでトキコさんを撮ってみた。美しい照明や色とりどりの布の間から、赤く照らされた客席の笑顔が見える。

加藤登紀子@フジロック2016

♪雑踏♪

続いて、アップテンポでかっこいい楽曲、“雑踏”へと続き、客席は興奮の熱でテント内の温度が上がったように感じた。鳴りやまぬ拍手に包まれ、トキコさんが一言。

「・・・記念写真撮ろうか!」帽子を斜めにかぶり、微笑むトキコさんの後ろに、ずっと奥、テントの外にまで溢れだしたオーディエンスが広がる。

会場満杯、テントの外にまで溢れだした客席のみんなと、記念写真。

会場満杯、テントの外にまで溢れだした客席のみんなと、記念写真。

「明日はまたここで、別の顔で出てくるからね!今日はほんとにありがとう。感謝!」

加藤登紀子@フジロック2016

手にしたモヒートを高く挙げて乾杯し、あっという間に飲み干すと、客席に向かって思い切り、コップのしぶきを投げかけたトキコさん。口笛と拍手の渦の合間に、「すごーい、すごーい!!」という女の子たちの歓声が聞こえた。

加藤登紀子@フジロック2016

酒と歌と大胆さと優しさと。
カッコよすぎる。トキコさん。

そして夜は、フジロック内、最大規模GREENのステージにゲスト出演するトキコさん。
衣装をずっと悩んでいたけれど最後は、「やっぱり夜は赤がいいね!」とニッコリした。


【7月23日 ステージ3:GREEN】

夜21時過ぎから、GREENステージに移動して、赤いドレスに着替えたトキコさん。
今年はフジロック20周年でこの夜のスペシャルステージにゲスト出演する。
三木俊雄率いる18名のビッグバンドFRF 20th SPECIAL G&G Miller Orchestra に、サニーデイサービスの曽我部恵一さん、EGO-WRAPPIN’の中納良恵さん、そして最後にトキコさんが加わるステージ!!夜遅いステージということもあって、始まる前から不思議な高揚感がある。

加藤登紀子@フジロック2016

♪田舎へ行こう♪

忌野清志郎さんのフジロックのテーマソング「田舎に行こう」からステージに合流し、歌うトキコさん。曽我部さん、中納さんがコーラスで入り、ここでしか見れない豪華な並び、そして特大のステージから降ってくる色とりどりの照明が美しい。ステージ前のカメラマンスペースには大勢のカメラマンがひしめきあっていて、目と目で合図しながら重ならないように動き回り、撮影をしていく。

「20周年おめでとう!みんなで、お祝いのセレモニーをやってるんだよ、いまここで!!」
そう叫ぶトキコさんに客席も一緒に、このメンバーと特別な夜を楽しんでいる気分が盛り上がってくる。続いてはジョン・レノンのカバーで“Power to the People”。

加藤登紀子@フジロック2016

♪Power to the People♪

「今日ははじめて清志郎さんの残してくれた“田舎へ行こう”をやりました。
清志郎さんがいなくなって本当に寂しいですけど、みんなで魂を受け継いでいきたいということで、これから歌っていきたいと思います。みんなでフジロック、もっともっと大きくしていこうね!!」

客席から大きな歓声が上がる中、おもしろい続きがあった。

トキコさん「曽我部さん、フジロックのスピリットを一言でいうと?」
曽我部さん「うーん・・・【田舎へ行こう】!」
トキコさん「そうじゃなくてさ~」
曽我部さん「無茶ぶりすぎますよ、トキコさん!!」
トキコさん「やっぱり【愛】でしょう!そうでしょう!」

2人のおもしろいやりとりに、客席に笑いの波が広がっていく中、中納さんのエッジの聞いた声が上がる。最後みんなで歌う、もう一曲のカバー曲。

中納さん「みんなが知ってる曲だぜ!“雨上がりの夜空に”・・・だぜ!」

加藤登紀子@フジロック2016

♪雨上がりの夜空に♪

ビッグバンドの前で3人が歌っているこの歌を聴きながら、夜空の下でみんなが揺れている。まばゆい光の中で目を凝らすと、ステージ袖の暗がりの中に、胸の前に腕を組んで、ニコニコと見守っているフジロック総監督の日高正博さんの笑顔が見えた。

この日の全てが終了し、楽屋エリアで機材を片づけていると日高さんが横を通りながら、心行くまで遊び倒した子供のような笑顔で、言った。
「あ~~~~~・・・おもしろかった!」

それが全ての根っこなのかもしれない。こんな素敵な大人たちの手で、フジロックは20年間続いてきたんだな、と思いながら撮影ジャージを事務局に戻し、みんなとホテルへと戻った。ステージが終わると、月の静かな夜だった。

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第一日

2016年トキコさんのフジ・ロック3日間:第三日


写真と文:ヒダキトモコ

 



ヒダキトモコ
写真家。日本舞台写真家協会会員。
各種雑誌、CD/DVDジャケット等エンタテインメント全般、企業広告等を撮影。
趣味はバックパッカーの旅。
http://hidaki.weebly.com / twitter ID: hidachan_foto

 

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