フジロック初日、フィールド・オブ・ヘブン(2015年7月24日 於苗場)~夏の風に吹かれて~


◆躍るこころ

夏色の山に囲まれた苗場プリンスから、移動のミニバスに乗りこんだトキコさん。もう今日の会場フィールド・オブ・ヘブンのステージへと心が飛んでいるのか、ちょこんと立ち上がって前の席に身を乗り出し、目の前に広がるフジロックの色とりどりの景色と楽しそうに行き交う人々を、眺めている。

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毎年、フジロックといえば心配な雨。でもトキコさんは超のつく晴れ女だから、今迄も何度も太陽を呼んできてくれた。今年もきっと大丈夫な気がする。
緑の山道を行きながら揺れるバスの中、立ったままトキコさんはおもむろに振り返る。「楽屋についたら、【愛の讃歌】で確認したいところがあるの。みんなよろしくね!」

◆楽屋にて

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楽屋にて。「愛の讃歌」細かい部分をみんなで確認。作戦会議だけど、なにやら楽しそうだ。

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娘世代の「ズクナシ」のメンバーに囲まれてコーラスのチェック。ふんわりとした瑞々しい表情で歌うトキコさんは、何となく少女のようにも見える・・・といったら言い過ぎかなあ?(笑)

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ステージ袖にて、フジロック総監督の日高さんと再会。本番前に益々笑顔が輝き、弾ける。隣は次女のYaeさん。そうこうしている内に、あっという間に出番の時間がきた。
「・・・あ。時間です!みなさん、時間でーーす!」
そう叫んだトキコさんの声は心なしか裏返り、嬉しそうに弾んでいる。

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「じゃあ、行ってきます!」出ていく直前も、この笑顔!いってらっしゃい!

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イントロが始まり、背筋をスッと伸ばしてステージへ。暗いステージ袖から出て、苗場の太陽の光に包まれていく。こんな風に颯爽と舞台へ向かうトキコさんの背中を見送るのはいつも楽しい。見送った後、少しだけその場所から写真を撮ったら、ステージ正面の撮影スペースへ走る。ライブは小一時間、あっという間。

◆さあ、ステージへ!!

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♪富士山だ(2014年)

一曲目!いきなりの「富士山だ」でガツンと客席の胸ぐらをつかんでしまったトキコさん。
曲終わりに客席からヒューーー、という声が上がると同時に、間をおかずにトキコさんの歌声がそれに重なっていく。
「フリーーーーダーーーム!」

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♪Freedom(1979年)

~フリーダム 限りない 自由の中へ~
明るいリズムとトキコさんの土の匂いのする、のびやかな歌声。そこへパンチのあるズクナシのコーラスが鮮やかな色どりを添える。オーディエンスからは「おーーーー」という歓声があがる。みんな、あっという間にトキコさん色に染まっていく。

「今日はお天気心配してたけど、ほら!空がだんだん明るくなってきたよー!!2006年に初めてフジロックに出演しました。それ以来フジロックが夏の一番の楽しみになりました!今日は新しいメンバーでお送りします!Love Farmers!!」
歌手で次女のYaeさんが農業をやっている鴨川。Yaeさんに加え、鴨川に住んでいるミュージシャン達を中心に今年はフジロックに挑むトキコさんだ。

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♪Now is the Time(2004年)

~人は この世に生きるすべての生命を 守れるただ一つのもの~
切ないような明るいような、自然の香りのする歌声のハーモニーの中で繰り返される一つのメッセージに、若いフジロッカーのみんなが真剣なまなざしで耳を傾けている。
歌い終わると同時に客席のあちこちから明るく鋭い口笛が響いた。

◆ライブは生きもの!!

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トキコさんがカウントを始めた。「one, two, one, two, three … !!」
お。セットリストの順番が変わったぞ。ミュージシャンの皆さんは何事もなくついてくる。トキコさんのコンサートでは時折、ライブの流れに応じて演奏する楽曲が入れ替わったりして、それもライブならではの楽しみ。客席はエネルギー全開のステージに一層盛り上がり、大きな手拍子をしながら揺れている!!

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♪Power to the People

ふと見るとトキコさんが、身体ごと天に任せたように伸び伸びと、大観衆の前で大空に手を伸ばしていた。普段は小柄でふんわりと可愛らしいトキコさんだが、ステージ上ではとても大きく強く、凛として見える。レンズを通して見ても、とにかくものすごくカッコイイ。

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♪今どこにいますか(2011年)

続いて、震災の7日後に作った曲。こんどは弾き語りでしっとりと聴かせてくれた。
~明日は来る 必ず来る 太陽は 回ってる
できることを一つずつ また一つ 積み上げて~

この歌詞は、震災だけでなく、何気ない毎日がまたそうであるように。小さな希望と勇気を積み重ねて、誰もが生きているような気がする。歌い終わったトキコさん。「・・・ありがとう!!」と叫んでいた。

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ヘブンの広い会場に、暖かい波のような拍手が広がる。

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♪名も知らぬ花のように(2012年)

震災の時に生まれた子供達はいま 4歳。どんな苦しい状況の中でも生命は生まれてくること、そしてそれはかけがえのない生命であること。そんなメッセージを込めて次女のYaeさんが作曲し、トキコさんが作詞した楽曲を、Yaeさんが歌った。緩やかな波に抱かれるように優しい気持ちになるこの歌は、8月1日・2日放送TBSテレビ60周年特別企画ドラマ「レッドクロス~女たちの赤紙~」の挿入歌でもある。

◆何の話だっけ?

ピアフが戦時中に偽のパスポートをバンドメンバーに発行した、という話をしている時に丁度トキコさんの目に外国人のオーディエンスの姿。
「Ah, foreigner! You have passport?? アハハ・・・あれ、何の話だっけ?(爆笑)」
楽しい脱線。なんとなく話の行く先が不安になって会場に笑いが広がったところでトキコさんがびしっとまとめてくれた。
「では本当に、どんなときにも、素敵に生きていきたいなーという思いを込めて歌います。ピアフの、愛の讃歌!」

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♪愛の讃歌

会場からは期待の大きさと喜びの伝わる反応があり、大きな愛に包まれた名曲が空に吸い込まれていく。あっという間に、ライブは終盤にさしかかっていた。

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♪Never Give Up Tomorrow(1996年)

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♪愛を耕すものたちよ(2014年)

この2曲は、トキコさんからみんなへの、大きな愛情のこもったエールのような歌。政治も原発も不安の多いこの時代だからこそ、なおさら沁みてくるシンプルなテーマだ。

◆夏の風に吹かれて

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「どうもありがとう!!!元気でね!!」
笑顔で颯爽と去っていくトキコさんに、会場のみんなは口々にコールをしたり口笛を吹いたり、大きな拍手が沸き上がる。夏の心地よい風が、ヘブンを吹き抜けていく。

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トキコさんのフジロックの夏、2015。今年はあっという間だった気がするけれど、しっかりと、それぞれの胸に刻まれたコンサートだったと思う。帰りのバスに揺られている、明るいみんなの笑顔を見ながら、なぜか底知れぬパワーが湧いてくる気がした。

この夏で5年連続、6度目のフジロック。翌日、トキコさんはバルト三国のラトビアへ、コンサートのために旅立った。不思議な底知れぬパワーは、常に走り続けるトキコさんからみんなに、自然と充電されるものなのかもしれない!
素敵な夏を、ありがとうございました。

写真と文:ヒダキトモコ

 



ヒダキトモコ
写真家。日本舞台写真家協会会員。
各種雑誌、CD/DVDジャケット等エンタテインメント全般、企業広告等を撮影。
趣味はバックパッカーの旅。
http://hidaki.weebly.com / twitter ID: hidachan_foto

 

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