- 「君が生まれたあの日」
〜Begin again〜 in 府中の森芸術劇場
●お父さんの気持ちを歌います
鴨川自然王国からの帰り道、登紀子さんから、「いよいよ夏のツアー『Begin again』が始まるのよ。あなた、5月24日の府中コンサートを見に来にきなさいね」とお誘いを受けた。
雨上がりの空の下、ゆったり始まったコンサート。どんな曲目なのか、何色の衣装なのか、何のトークが飛び出すか、それは7月11日のオーチャードホールを経て9月まで全国あちこちで『Begin again』が開催されるから、それはコンサートに来てくださってのお楽しみ。 …なのだけど、ちょっとだけご紹介しましょう。
『Begin again』。
「何かを始めなくては。自分でこのツアー名をつけたからには、何かを始めないとね。安保闘争やプラハの春、ベトナム反戦…みんな傷ついたけれど、そのころの活動は、今につながっている。今、新しい風が吹いています」
見えなかったものが見えてくる。新しい何かが生まれる予感。
過去も今につながり、未来へ向かう。
前回ご紹介した新曲「1968」もノスタルジーではない。
再生の歌なのだ。
もうひとつ、素敵な新曲がある。
それは、「君が生まれたあの日」。
登紀子さんは舞台の上でこんなことを言っていた。
「自分の子供が産まれるときは必死だし、産まれたら子供と一緒にスタート!という気持ちなんだけど、そばで見ているお父さんはどんな気持ちなんだろうと思って作った曲なの。みんなワイワイとしているなか、ひとりで妻と子供のまわりをウロウロ。しばらく赤ちゃんを抱かせてもらえない(笑)。レコーディングもまだしていない曲なんですけど」
曲も産まれたてほやほや。
さあ、子供を持ったお父さんの気持ちとはいかに?
●幸せばかり追いかけるな
低い声で静かに弾き語りが始まった。
♪ 君が生まれたあの日 僕は君に手紙を書いた
窓の外は吹雪 寒い朝だった
白い空を見上げて 僕は言葉をさがした
あふれるものそれは うれしさと何故か涙
強くなくてもいい 熱い心を持て
幸せばかり追いかけるな 思いきり今日を生きてゆけ
「幸せばかり追いかけるな」
そんな言葉が登紀子さんから出たのは意外だった。
「幸せになりたい」 では、その幸せって何だろうと、しばしば私たちは考えこむ。
老後を安心して暮らせる保証…お金や頼れる人を得ることが幸せなのか。
ずーっと先のことを考えると、生きていくことがしんどくなってくる。 たとえ「ちゃんと」した人と結婚したとしても、いつそのちゃんとした人の会社がつぶれて仕事がなくなるか分らないし、それに備えて「ちゃんと」お金を貯めていても、いつ大インフレが起きるか分らない。
そんな不安でいっぱいの毎日に、ポンと投げかけられた 「思いきり今日を生きてゆけ」という言葉に「それでいいのかも」と、ほっとする。 同世代の若い人にも、ぜひ生で聞いてほしいと思う。
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