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Screen スクリーン

居酒屋兆治(1983)
はじめての映画出演だった。それも高倉健さんの女房役だなんて、すばらしすぎる!
どうして私なのかしら?「女優でない人」というプロデューサーの言葉にやっとうなずき引き受けた。撮影が始まったとき健さんが「『人が心に思うことは誰にもとめられない』というラストシーンの台詞を言うためにあなたは出演してるんです。あとはそこにいるだけでいい。気楽にしていて下さい。」と言ってくださった。
撮影の現場では十年以上も連れ添った焼鳥屋の女房になりきれてとても楽なのに、一緒に食事しているときや待ちの時間には、あこがれの高倉健さんを意識して緊張してしまった。

ハチ公物語(1987)
「居酒屋兆治」から4年、同じく焼鳥屋の女房役で「ハチ公物語」に出演した。夫役は山城新伍さん。この時は主役が犬なものでただただ待ち時間が長い!本番のわずかな時間より待っている間の山城さんとの映画談義がバツグンで楽しませてもらった。

紅の豚(1992)
「紅の豚」でジーナの声を演じる時の宮崎さんの説明。
「男を奮い立たせるほどに美しく、いざとなったらスパイが出来るほどすごい女。」
ジーナの絵と私の声がすんなり重なってとってもいい気持ち。仏語で「さくらんぼの実る頃」を歌うシーンのもとになるVTRをテアトロ・スンガリー青山で撮った。その時仮録音のつもりで気楽に歌った音がそのまま本番で使われてしまった。「あれ以上の歌はありません。」宮崎さんの言葉の凄みにはかなわない。すばらしい出逢いでした。

OPEN HOUSE(1998)
辻仁成原原作、行定勲監督作品「OPEN HOUSE」に南果歩さんの母親役で一シーンの出演。
行定監督とはもちろん初対面。岩井俊二監督の助監としてのキャリアを認められての初作品。
母と娘の会話が奇妙なおかしさを醸し出している。


時には昔の話を

時には昔の話をしようか  通いなれた なじみのあの店
マロニエの並木が窓辺にみえてた
コーヒーを一杯で一日  見えない明日を むやみにさがして
誰もが希望をたくした
ゆれていた時代の熱い風に吹かれて  体中で時を感じた そうだね

道端で眠ったこともあったね  どこにも行けない みんなで
お金はなくても なんとか生きてた
貧しさが明日を運んだ  ちいさな下宿屋にいく人もおしかけ
朝まで騒いで眠った
嵐のように毎日が燃えていた  息がきれるまで 走った そうだね

一枚残った写真をごらんよ  ひげづらの男は君だね
どこにいるのか今ではわからない
友達もいく人かいるけど  あの日のすべてが空しいものだと
それは誰にも言えない
今でも同じように見果てぬ夢を描いて  走りつづけているよね どこかで