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Nature 自然

N-1
地面がぬれているところでは「赦す」文化が生まれ、他の文化との融合が進む、とある人が言った。それが石の文化や砂漠の文化との大きな違いだと・・・。
 日本の文化にとって自然とともにあることがどれほど大切だったかは言うまでもない。四季の変化をとらえようとする心から言葉が生まれ、心の伝え方がきまり、ゆったりとした生活感が育まれた。
 今、自然から遠ざかった都会で生まれ育った者達がどうすればその生活感を失わずにいられるだろうか。
 土のぬかるみを歩くことも泥遊びをすることも少なくなった。ぬれた土の匂い、草の香り、柔らかな土を踏む感触も知らない。無数の生きものたちがすぐ傍らで生きていることに気付く時間を持たずに子供時代を生きてしまうってことは一体どういうことなのか。これからの時代への未知の不安がそこにある。
 この日本でほんの数十年の間に、どれほどの河が海岸が山が姿を変えただろう。どれほどの干潟が失われ、鳥たちが絶滅したことだろう。
 自然を破壊することは、人間が自分自身を破壊していることを意味している。何故なら人間は心も体も自然の一部分として生きているものだから。