Tokiko Now
08.

「はだしのゲン」の作者中沢啓治さんが晩年に書き残された詞に作曲家の山本加津彦さんが曲をつけた「広島愛の川」。2013年にこの歌が生まれ、2014年に私がレコーディングしました。
2015年8月6日の広島での灯籠流しに合わせて、この歌を川岸で歌うプロジェクトが10年つづけられてきました。
今年は大切な節目なので私も参加させていただきました。


山本加津彦さんの熱意に改めて脱帽です。たくさんの子どもたち、市民の人たちとの大合唱に大きな感動をいただきました。
このプロジェクトに何回も出演してくださった、歌手の二階堂和美さん、島谷ひとみさん、HIPPYさん、TEEさんとのセッションも楽しかったです。暑い中、たくさんの皆さんが見守ってくださり、私はこの曲の語りバージョンもご披露させていただきました。


「はだしのゲン」の一巻の後半に、原爆の実験が行われた7月16日から8月6日までの刻刻の経緯が詳しく書かれています。
7月26日に日本に求められたポツダム宣言による無条件降伏を、日本が拒否したことから、原爆投下計画は実行に移されることになった。もし日本がこの時、ポツダム宣言を受諾していれば、広島、長崎の原爆投下はなかったかもしれない。その悔しさを滲ませて中沢さんが書き込んだこの経過を「広島愛の川」の曲に合わせて私は朗読しています。
原爆投下から80年経過した今こそ、その詳しい経緯を皆さんに知ってほしいです。歴史には「イフ」はないとは言っても、歴史は人間が刻々に判断を迫られ、選び取ってきた決定が敷石のようにぎっしりと敷かれてできていくもの。もし違う決定が下されていたら、まったく違う現在があったかもしれないと、どんな時も振り返られるべきだ、と思います。
ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻、恐ろしい戦争がなかなか終わらない今の世界。核の危機が恐ろしいほど現実のものになってきています。人が始めたことなんだから、人が止められないはずはない、と叫びたいです。
この語りバージョンは、私の60周年企画アルバムの中にも入っています。ぜひ聞いてください。
今回は5日から広島に入り、その夜の広島テレビに生出演、翌日6日の朝8時からの平和式典にも参加させていただき、この二日間たっぷり、広島で過ごさせていただきました。
去年の被団協ノーベル賞受賞の反響が今も大きく、この日の広島には世界中から人が集まっていたと思います。
この熱気が世界から核を廃絶する力になることを祈りたいです。

さて来週はいよいよ終戦の日。
この日にはオーチャードホールで東フィルのオーケストラと共演で、黒柳徹子ハートフルコンサートがあり、翌日の16日には読売ホールで、「フォークソングに乾杯!」をタイトルに、60年代フォークに光を当てるコンサートがあります。
トワ・エ・モワさん、六角精児さんがゲスト出演。
その六角精児さんとの土の日ライブが8月11日にあります。
私のYou Tubeチャンネルで夜8時からです。
読売ホールで歌う歌をちょっぴり歌っています。
懐かしい歌を思い出してコンサートの日には一緒に歌ってほしいな、と思っています。
「戦争を知らない子どもたち」を高らかに歌える日本であり続けることを心から願って!