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ドキュメントTokiko

2023
01.
30
ほろ酔いコンサート50周年の旅 ~2022.12.27. ヒューリックホール東京~ ②
◆第二部は「難破船」から!
♪難破船
♪冬の蛍
♪帆をあげて


「別れの歌が大好きな・・・加藤登紀子の別れ歌でした」

トキコさんが二十歳の頃に経験した別れを歌にした『難破船』。
作詞作曲したときのトキコさんは40代で、もっと瑞々しく初めての恋が終わったばかりの人に歌ってほしいと思い、当時の中森明菜さんに提供した作品。
トキコさんの、明菜さんへの感想が素敵だった。
「彼女は何故かいつも、スタジオの一隅にひっそりと立っていて、その佇まいも、彼女の歌も好きでした。この作品を歌っている間の明菜さんは、難破船の主人公を完全に演じていたけれど、また新しい楽曲に取り組む時はがらりとその作品の雰囲気に変わっていくところが驚きで、また素晴らしいのです」
「一つの歌が歌う人によって違う旅をしてくれるというのは素晴らしい。楽曲を作ったときには思いもよらなかった変化を遂げていくこともある」
そんなお話は、子供の頃に明菜さんの『難破船』を聴いていた私の心にも、深く沁みた。

♪あなたの行く朝
♪イマジン
♪花はどこへいった
♪声をあげて泣いていいですか
♪百万本のバラ


「1000年後にいったい私たちはどんなところにいるのだろうか。この歌を歌ってみると、その期待は見事に打ち砕かれるような気がします。おそらく人は1000年後も同じようなことを繰り返し、そして切磋琢磨しながら泣いたり騒いだりしているのかもしれません。でもおそらく、どれほど諍いの歴史が続いたとしても、その中で人は高らかに歌い、踊り、愛し合い、命を咲かせていくのだろうと思います」
名曲が続き、鳴りやまない拍手の中トキコさんとバンドメンバーが退場すると、次第に拍手は大きなアンコールの手拍子へとまとまっていく。
お客さんの手が疲れない程、割とすぐに笑顔で戻ってきてくれたバンドメンバー。
告井さんの明るいギターが鳴り、鬼武さんのピアノが流れるように入り、早川さんのベースが力強く刻み、渡辺さんのヴァイオリンが華やかに舞う。
♪Never give up tomorrow

「勝手なこと言わないで 冗談じゃないと 怒ってみたいね こんな夜には」
(作詞作曲:加藤登紀子)
♪Power to the people

全力で、パワーをホール中に満たすような作品が続き、ほろ酔いコンサートもアンコール、大詰めを迎えた。

「本当にありがとう。私の心の中も燃えています!このほろ酔い50年を支えてくれた大関さんのオンリーワンカップ、好きな写真をここに貼って注文できるのよ。みなさんも帰りに注文していったらどうですか?笑」
そういいながらおもむろに歌いだす一曲。

~恋をするなら命がけ 酒は大関こころいき(客席も一緒に:酒は大関こころいき)~
大きな拍手に包まれながら、トキコさんは何度目かの乾杯と一気飲み。
そして最後のフィナーレに、タブレット純さんと、湯川れい子さん率いるコーラス隊にも登場してもらって、全員で歌うのは『乾杯』!
覚えやすい楽しいメロディと繰り返される乾杯!のフレーズに客席もすぐに一緒に歌いだし、ふとカメラから顔をあげて振り向くと会場はオールスタンディング状態になっていた。
♪乾杯
♪Happy Birthday

会場のお客さん、告井さんはじめバンドメンバー、湯川さんとコーラス隊による大きなハーモニーで歌うHappy Birthday。
湯川れい子さんから花束をプレゼントされるとトキコさんの笑顔も一層輝きを放った。
湯川さん「お誕生日おめでとうございます!!」
このとき、湯川さん86歳、トキコさん79歳。
湯川さん「まだ大台まで1つあるでしょう、どんどん私に近づいてきてくださいね!」
トキコさん「でも・・・湯川さんも一個ずつ上がっていくわけでしょう? じゃあ、私の誕生日12月27日から湯川さんの誕生日1月19日までは、私が近づきます!」
湯川さん「そうね。でもね、私の誕生日は、1月22日なんですよ~」

会場の皆さんよりもおそらく少し年上の二人の、お酒も入った会話はまるでコントのようで気が付くと会場中のひとたちが立ち上がったまま楽しそうに大笑いをしている。
「乾杯とは、盃を逆さにすること!ものごとを逆転させる力があるのよ!」

湯川さん「長生きしてください!歌ってください!」
トキコさん「長生きしましょうね!」

楽屋に戻ってきたトキコさんとバンドメンバーのみなさん。
ほろ酔いコンサート50周年は、確かに節目ですが通過点、来年はもっとパワーアップする!そんな感じのする5人の笑顔でした。

トキコさん、来年も益々、素晴らしい歌と共に輝いてくださいね。
こどもの頃、ボストンのハーバード大学のホールで、赤ワイン片手に歌うトキコさんを見ました。あれは海外公演で、きっと「ほろ酔いコンサート」の数にはカウントされないけれど、私にとって初の「ほろ酔いコンサート」でした。

ほろ酔いコンサート50周年、おめでとうございます。

ヒダキトモコ

写真家。日本写真家協会(JPS)、日本舞台写真家協会(JSPS) 会員

東京都出身、米国ボストンで幼少期を過ごす。専門はポートレートとステージフォト。音楽を中心とした各種雑誌、各種ステージ、CDジャケット、アーティスト写真等に加え、企業の撮影も多数担当。趣味は語学とトレッキング。

​Instagram : tomokohidaki_2 / Twitter ID : hidachan_foto