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Tokiko Now

2023
03.
31
坂本龍一さんが亡くなりました。心から哀悼を捧げます。
 坂本龍一さんが3月28日に亡くなったことを知りました。本当にショックです。
去年の12月11日、NHKで放送された最後のライブに感動し、その素晴らしさに、泣きました。彼が全人生の思いを込めて世界に贈ったのは、生きることへの愛惜の思いだったと思います。
 坂本龍一さんと最後にお会いしたのは2014年3月10日。日比谷公園で開かれた東日本大震災への追悼イベントでした。
 Peace On Earce というこのイベントにたくさんのアーティストが集まり、メッセージを発信した時、その楽屋で撮影した写真です。右にSUGIZOさん、左にBRAHMANのTOSHI-LOWさん、そして私と坂本さんです。

 私たちが共に願ったのは、核のない世界です。非戦と脱原発を求めて、音楽家として出来うるあらゆる方法でそれを訴えていく決意でした。坂本さんの地球環境への活動は、青森の六ヶ所村の核再処理工場に反対するためにそこにみんなで森を作ろう、というような現実に即した実行を伴うものでした。

 亡くなる直前まで、神宮の森の木を切ることに反対、行動した坂本龍一さん。その行動力に心から敬服しています。

 坂本龍一さんとの大切なコラボレーションは1982年に発表したアルバム「愛はすべてを赦す」でした。1930年代のヨーロッパの音楽を彼のピアノとシンセサイザーだけで収録したアルバムです。

 YMOを解散し「戦場のメリークリスマス」で音楽と共に俳優としても世界に活躍の場を広げる寸前の時期でした。
 ポーランドのパルチザンソングやブレヒトの三文オペラの歌をレコーディング。翌年には日本の大正時代から昭和の初めの歌を集めた「夢の人魚」というアルバムも一緒に作りました。

 音楽的な魅力に充ちた稀有なアルバム、私の宝物です。

 本当に素晴らしい音楽家であり、思想家であり、行動者だった坂本龍一さん。彼の亡き後も、彼の思いを受け継ぎ、音楽家として思考し、行動するひとりでありたいと願っています。

 心から哀悼を捧げ、共に生み出した音楽を大切に歌っていきます。
登紀子