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Tokiko Now

2024
03.
11
宮崎駿さんのアカデミー賞受賞、おめでとうございます。

朝から震災の番組を聴き、13年の月日はすごいものだけど、まだまだ思い出はとても近いところにあるんだなと感じて、胸いっぱいだったのでしたが、その時にニュースで宮崎駿さんの「君たちはどう生きるか」がアカデミー賞 長編アニメ映画賞受賞の一報がありました。 

 奇しくも昨日の夜、NHKBS2021年に放送された「新BS日本のうた~千葉県旭市」の再放送があり、私は千葉県で津波被災した旭市の防災資料館を紹介し、「今どこにいますか」を歌って、その後に「時には昔の話を」を歌っていました。 

 92年に初上映された「紅の豚」のラストテーマに宮崎さんがこの歌を選んでくださり、その時こう言って下さったのを思い出します。

 「『あの日のすべてが空しいものだと、それは誰にも言えない』という歌詞がいいんです。どんなにひどい時代だって、人は素晴らしく生きようとする!僕はこの作品でそれを伝えたいんですよ。」

 この映画の舞台は今から100年前の1920年代。第一次世界大戦でヨーロッパがズタズタになり、その混乱の中で、もう第二次世界大戦が始まろうとしている、二つの大戦の谷間の時代です。「人はどう生きればいいのか」、それは宮崎さんが全ての作品で追求されてきたテーマだと思います。

 

 2024年は、世界は同じように無残な戦争に振り回され、正月早々に能登地震が起こり、解決のつかないことだらけです。こんな時にいろんな厳しい状況を生き抜いた人の姿に出会うことで、すごく勇気づけられる気がします。 

 宮崎駿さんが7年の歳月をかけて仕上げた「君たちはどう生きるか」も、これまでに作品に込めた思いの総決算と言ってもいい作品。宮崎さん自身の自伝映画と言ってもいい内容に、戦争を生き抜いた世代の複雑な思い、早く他界されたお母様への心情、父との葛藤が一人の少年を通して描かれています。

 この受賞によって、世界中の人が、宮崎作品から届けられて来るメッセージを共有していることが伝わってきて、それが本当に嬉しいです。

 

 アカデミー賞の作品賞など多部門を受賞した「オッペンハイマー」は先日試写会で見ることができました。

 観終わった後は、一語も発することもできないほど、うちのめされた気分でしたが、なぜか家に帰ってフッと浮かんできたのは、母が昔言ってたこんな言葉でした。

 「戦争に行った男はみんな戦争の犠牲者よ。絶対に元のくらしに戻れない。」

 核兵器を作ろうとしたきっかけは、ヒトラーへの憎しみ。戦争の危機から人類を救出することだったはず。もちろん戦争を長引かせた日本の責任も大きいのですが、恐ろしいほどの大きな力を知った人類は、戦争が終わっても、後もどりはできなかったのです。

 先へ先へと研究を進め、より強力な力を求め続けるしかなかった。 

 二度の原爆被災国、そして福島第1原発での事故で、現在核燃料のデブリ880トンを取りだせないまま抱えている原発事故非常事態の中にある日本。

 責任の大きさに呆然とします。この映画のアカデミー受賞を機に、もう一度日本人として出来ることを考えたいと思いました。

   惜しくも受賞されませんでしたが、ノミネートされ注目されていたヴィム・ヴェンダース監督作品「PERFECT DAYS」へ出演されているダンサーで俳優の田中泯さんは、今夜8時配信の私のYouTube『登紀子「土の日」ライブ』のゲストに登場して下さいます。夜8時、絶対にみてください。

 

 昨日の番組ではほかにも、2021年作ったばかりの歌「江の川挽歌」を歌っていました。

 「江の川挽歌」を作るために、2020年、まだコロナ感染の中でしたが、何度も島根を訪ねて出会った人のことを、いっぱい思い出し感無量です。この歌をもっともっと歌っていきたいな、と改めて思いました。

 

 この歌は、美しい自然の中で生きてきた日本人への深い望郷を描こうとしたので、ぜひいろんな方に歌い継いでいただけたらな、と思っています。

 「琵琶湖周航の歌」や「知床旅情」のように、その土地の風景が生きてる限り、生きつづける歌になってほしいな、と密かに願っています。

 

 さて313日(水)はビルボードライブ大阪でのライブです。

いろんな想いが溢れる中でのコンサート、精一杯歌いたいです。

 16日(土)にはNHKBSで夜9時から「歌えるJ-POP黄金のヒットパレード決定版」に出演します。これも観てください。