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ドキュメントTokiko

2025
09.
02
ドキュメントTOKIKO - Restart 『加藤登紀子60周年記念コンサート』<第二部>②
『サルダーナ』ではコーラス隊も会場のお客さんも手を大きく左右に降って夏の木々のように揺れた。

こんなにもたくさんの手が伸びる中で厚みのある音楽を聴いていると、どんどん現実から離れていくような感覚になり、自分がどこにいるのかすら曖昧になる。
それでも「手を上げる」ということには意思や意識が働くもので、何かを感じて、何かを受け取った手が今こうして会場にたくさん揺れていると思うと圧巻だった。

そんな怒涛の2曲を終えて125人のコーラス隊がステージを後にする。

最後に登紀子さんが『君が生まれたあの日』を歌い、熱狂と穏やかさが混ざり合う中コンサートが終了した。

熱気に包まれたままの身体でNHKホールを後にする。熱くなった自分と外の暑さの区別も曖昧で、黒い服と夜の暗さもまた区切りがないようだった。それが心地いい。

今日のことを反芻しながら黙々と歩みを進めるが、登紀子さんのコンサートの終わりには何故か「またね」という言葉が身体に満ちる。

出演された方にも、スタッフさんにも、そして何よりお客さんにも「またね」「また会う時まで元気でね」という気持ちになる。
前回のライブレポートの終わりもそんなことを書かせていただいたかもしれないが、やはり今回も同じことを思う。
「またね」と再会を繰り返したい。そう願うコンサートだった。
こいわいはな
1994年、宮城県生まれ。『水曜どうでしょう』のイベントや書籍撮影を皮切りに、映画、ドラマ、演劇、ライブ、CMなど様々な現場で活動中。
【スチール担当演劇】 EPOCH MAN『我ら宇宙の塵』など。
【スチール担当映画・ドラマ】荻上直子監替『波紋』、岸善幸監『正欲』『サンセット・サンライズ』NHKドラマ『水平線のうた』など

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