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ドキュメントTokiko

2020
09.
04
2020年8月10日 夏のコットンクラブ ~花物語~ ー②ー
♪未来への詩

~遠い昔から人は唄い続けた どんなに暗い夜にも 朝がくるように~
~生きるすべての人に倖せが来るように 人は愛を歌う 悲しみのときにも~
~泣いたり笑ったり 時は過ぎてゆく 巡り合う嬉しさも さよならの涙も
叶わずに胸の中 終わってしまった恋も いつか届けたい 愛の歌に変わる~
(「未来への詩」作詞作曲:加藤登紀子)

トキコさんの詞が、トキコさんの声でメロディに乗った時、不思議な程、力強く温かく、大きな説得力をもって自然に胸にしみわたるのはなぜだろう。
トキコさんという人の人生そのものの持つ熱量とおひさまのような温もりが、その歌を通じて心に直接伝わるからだろうか。
「歌」というもののパワーは大昔から、きっと遠い未来まで、ずっと続いていくのだろう。

そしてそのまま、みんなの良く知る名曲のイントロへと入っていく。
トキコさんの代表曲のひとつにして、まるで一冊の小説を読んでいるような、純粋すぎる恋の世界とバラの海の情景が心に広がる一曲が始まる。客席からは声こそ出さないようにしているが、一人一人の拍手の熱さで、この歌を聴ける喜びが伝わってくる。
♪百万本のバラ
♪知床旅情


熱い拍手は鳴りやまず、その中で改めてメンバー紹介。みんなの笑顔がとても清々しかった。

「本当にありがとう!!ちょっと顔がみたいね!」

トキコさんが言うと、客電が上がり、座って拍手を送っている一人一人の顔が見えるくらいに会場が明るくなった。

「私のLIVE、今日初めて見て下さってる方はどれくらいいますか?」
トキコさんの問いかけに、客席からは想像以上に沢山の手が上がり、トキコさんがびっくりしている。
「あ、多いですね!嬉しいわ!今日、お初ね!(笑)」
感染予防対策のため、客席からはいつものような歓声や掛け声などは聞かれなかったが、みんなとても楽しそうな様子だった。

「最後にね、ゴスペラーズが作ってくれた歌を歌いたいです。2002年にできた曲。みんなまだ生まれてないか?」
年齢でちょっと軽いJOKEをとばすと会場は笑いに包まれる。

「なんとなく力を、元気いっぱいになりたくて。自分で自分を守るしかないのですから、ね!
良き日々を、自分で作りだしてください。では、『花筐(はながたみ)』!」

告井さんのカウント、「ワンーツースリー!」で始まるラストソング。
イントロのっけから、会場は手拍子で大きな一体感に包まれていく。
♪花筐
~何かがはじまるわ 時間は動いてる
誰にも止められない 歩き出した 明日への足音~
(『花筐』作曲:村上てつや 作詞:加藤登紀子)

闇の時にこそ光を。どんな悲しい時も、幸せな時も、時間は止まらず動いていく。
色々な人生の場面で、自分の身に引き寄せて感じることのできる名曲の一つで、この夜のコンサートはしめくくられた。

拍手の渦の中、トキコさんが笑顔で叫んだ。

「本当はもっともっと歌いたいけど、ほろ酔いコンサートがあります。今年、やります!(会場拍手)今日は本当にありがとうございました!」

やる、という決意がこんなにも大変なものかと感じさせられた今年のコンサートの数々。クラシックでもジャズでもロックでも、ジャンル関係なく、一時は全てのステージの開催が見送られ、先の読めない悲しい状況の中での一つの決意。
その明るい声と笑顔に何度救われた気持ちになったかわからない。
トキコさんの、太陽のような愛情いっぱいのパワーが次の扉を開いてくれる。
それを身をもって感じた2020年春~夏の季節。
年末には「ほろ酔いコンサート」をやるという、その言葉にまた、励まされている自分がいた。
暖かな拍手に満ちた客席を笑顔で歩きながら、みんなにエア・ハイタッチの両手をあげるトキコさん。その景色にうるっとしながら、撮ったこの日最後の一枚。今夜も愛情いっぱいの歌のステージ、ありがとうございました。

「2020年8月10日 夏のコットンクラブ ~花物語~ ー①ー」


(写真と文:ヒダキトモコ)

<p>ヒダキトモコ</p><p>写真家。日本写真家協会(JPS)、日本舞台写真家協会(JSPS) 会員</p><p>東京都出身、米国ボストンで幼少期を過ごす。専門はポートレートとステージフォト。音楽を中心とした各種雑誌、各種ステージ、CDジャケット、アーティスト写真等に加え、企業の撮影も多数担当。趣味は語学とトレッキング。</p><p>​Instagram : tomokohidaki / Twitter ID  :  hidachan_foto</p><br />