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ドキュメントTokiko

2021
04.
23
ビルボードライブ横浜 ~すべては偶然~ ー②ー

◆ふるさとについて

「私の父が以前、言っていました。『満州で生まれた人は、故郷がないことになってしまう、そんな悲しいことはない。お前には故郷をもって生きて行って欲しいから、その後育った京都もお前の故郷だ』と。その言葉はいいなあって思って、今でも覚えています」

その後、歌手として色々な所を旅しながら、自分自身が故郷だと思うこともあるし、また歌が自分の故郷だと思うこともあるというトキコさん。

「どんな歴史の中でも音楽だけは、故郷の代わりになれたんだってことをすごく思います。私の故郷を歌いますか!(笑)」そういうと、トキコさんにとって(お守りのような歌)という2曲が続いた。

♪悲しき天使
♪愛の讃歌

「今年は、オーチャードホールで7月18日にコンサートをします。タイトルは『時には昔の話を』です!」

また新たな偶然だが、会場の抽選で決まったこの7月18日という日程は29年前、トキコさんも歌姫ジーナとして声優&歌で参加したジブリ映画「紅の豚」の初日だったという。
「紅の豚」の描いた世界がちょうど100年前。そのころを見渡すように、第一部はオリジナル曲、第二部は第一次世界大戦から第二次世界大戦までの大変な時代に生まれた、数々の素晴らしい楽曲を中心に構成される予定だ。

人生は偶然の連続。そしてこのコンサートも決定的なタイミングでこの内容になったというトキコさん。
「是非いらしてください!そしてあっという間に、今日のコンサートの最後のプログラムとなりました。『時には昔の話を』、聴いてください!」



♪時には昔の話を

メンバー紹介の後、「どうもありがとう!」と笑顔で手を振るトキコさんに、会場からは鳴りやまぬ拍手。そして鬼武さんのピアノが百万本のバラの前奏を奏でると、拍手は更に大きくなった。

♪百万本のバラ

流れるようなピアノ。ソロのヴァイオリンが効いている。会場から、力強い手拍子。
指先が踊るようなソロギター。艶めく深いトキコさんの声。
ずっと聴いていたいと思いながらシャッターを大切に、切っていく。

終わると、やっぱりまだ拍手は鳴りやまない。
ギターの告井さんを振り返りながらトキコさんはニカっと笑って言う。
「・・・会場の制限時間まであと少し。・・・やっちゃう?!」

その言葉を聞くやいなや告井さんのコールが響く。「One, two, three, four!」
会場からは熱気を帯びた手拍子が波のように湧きあがった。
この日のラストソングは、いつも撮っていて鳥肌のたつような、アップテンポでかっこいい楽曲、フランスのシャンソン歌手ダリダ(Dalida)のMourir Sur Scene (死ぬのは舞台で)をトキコさんが訳した『歌いつづけて』。




♪歌いつづけて

トキコさんのかっこよさがぎゅっと濃縮されたような、今夜のセットリスト。
ステージ上で輝くトキコさんに、客席も私も釘付けになったまま、笑顔のフィナーレ。

「夜(の部)もいる?笑 今夜もう1ステージありますが、次のオーチャードホールでの大切なコンサート、実現できるように日々生活を自粛して、、、なんちゃってね!!
がんばろうね!今日は本当にありがとうございました!」

会場の熱気の中、テーブルの間を笑顔で縫って退場するトキコさんに、客席からも、まるでありがとうという気持ちがいっぱいこもっているような、温かい拍手が降り注いだ。

◆トキコさんの歌と共に

夢の様な時間の後、カメラバッグを背負って一歩外に出ると、横浜は、まぶしいほどの春の色。ちょうど大阪、東京でもコロナの変異種が猛威を振るっていて、不安が大きくなっている今日この頃。7月のオーチャードも無事、開催できますように!
そして世界的なこの苦境を、トキコさんの歌の力を借りて、みんなで元気に笑顔で生き抜けますように。
◆セットリスト
M1 さくらんぼの実る頃
M2 デ・ラ・シ・ネ
M3 この手に抱きしめたい
M4 未来への詩
M5 ひとり寝の子守唄
M6 知床旅情
M7 今どこにいますか
M8 命結ーぬちゆい
M9 悲しき天使
M10 愛の讃歌
M11 時には昔の話を
ENC 百万本のバラ
ENC 歌いつづけて

ヒダキトモコ

写真家。日本写真家協会(JPS)、日本舞台写真家協会(JSPS) 会員

東京都出身、米国ボストンで幼少期を過ごす。専門はポートレートとステージフォト。音楽を中心とした各種雑誌、各種ステージ、CDジャケット、アーティスト写真等に加え、企業の撮影も多数担当。趣味は語学とトレッキング。

​Instagram : tomokohidaki_2 / Twitter ID : hidachan_foto